ナニカ/草野大悟2
の名を選び、更に、占い師にみてもらって「優太」と名付けた。
優太は、体重三九○○グラムを超える丸々と太った男の子で、帝王切開の末産まれてきた。理沙は、柔らかな笑顔を浮かべて乳を飲ませていた。野津は、猿そっくりなその子を可愛いなどとは少しも思わなかったが、優太をあやしている理沙を見ていると不思議と心がなごんだ。
そのころ野津達は、新築一戸建ての建て売り住宅に住んでいた。二○戸が建ち並ぶ一角は荒木ニュータウンと呼ばれており、住人のほとんどが野津達と同世代だった。
「今日もご近所の奥さんから、『いい旦那さんと可愛い子どもさんに囲まれて奥さん幸せいっぱいね』って言われたよ」と、理沙はうれしそうに
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