ナニカ/草野大悟2
えっ?」
「今、付き合ってる人とかいる?」
理沙が何故そんなことを訊くのか野津には分からなかった。理沙の目は真剣だった。目の奥に舌がチロチロ蠢いていた。
「いや、今はいない」
「そう、いないんだ、よかった」理沙は、じっと野津を見つめて、突然言った。
「野津君、私と一緒になろうよ」
「えっ! そんな冗談やめなよ」
「冗談じゃないよ、本気だよ私」
「まーた、またまた。白石さん酔った?」
「ううん、酔ってなんかいない。酔っ払ってこんな大切なこと言えるもんですか」
「それもそうだけど、なーんか唐突感拭えねえし、即答できる問題でもないし、第一、これまで一度だってそんなそぶり見せたことな
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