ナニカ/草野大悟２
していた。それだけではなかった。あの無表情だった理沙が、「野津さん、お久しぶりです」そう言ってにっこりと微笑んだ。
「今日は急にごめんね」野津が席に座るのを待っていたかのように理沙が頭を下げた。
「うん、突然だったんで驚いたよ。取りあえずビールでも飲む？」
「ええ」
体全体が幾分ふっくらして表情も柔らかくなった理沙に、野津は多少の戸惑いを覚えていた。生ビールがくると、理沙は、乾杯！ と言って野津のジョッキに軽く自分のジョッキを合わせた。カチャッ、と小さな音がした。理沙は、生ビールを一気に飲み干してしまった。あっけにとられている野津を一瞥して、「今日暑かったから冷えた生ビール最高！」と、お
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