小屋/草野大悟2
 
を心底驚かせた子がいた。
 その子は、白系ロシア人のダンサーだった。 その子が小屋に着いたとき、僕は、心臓が口から飛び出すほど驚いて、その場に立ちつくしたまま、しばらく動けなかった。
 ショートカットの髪、二重まぶたの大きくて勝ち気な瞳、均整のとれた小柄な体、白く輝く肌、明るい笑顔、ブルーの瞳とブロンドの髪の佐藤陽子がそこにいた。
「よろしく、お願いします」
その子は、流暢な日本語で挨拶をして、僕にCDを手渡した。
「こ、こっ、……こちらこそ」
コチコチになって僕が返事をすると、彼女はにっこり笑って右手を差し出した。僕も、誘われるように右手を出し、握手をした。
握手をして
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