小屋/草野大悟2
から四回目まで一日中ショーを見ていた。
僕は、当初、あまり気にも留めずにいたが、女の子たちが入れ替わる十日間が過ぎたころから、無意識のうちにその最後列の席に目がいくようになっていた。
彼は、実に熱心に、開演から終演まで、一日中ステージを見つめていた。背筋をすっと伸ばし、身じろぎひとつせずに正面を見ているその後姿に、僕は祈りに似たものを感じた。
彼は、七十歳をとうに過ぎているように見えた。チャコールグレイのスーツとバーバリーのコートを着込み、痩せぎすで、他の客と異なる毅然とした雰囲気を感じさせた。
十三日目の全ステージが終わった後、僕は照明室から下りて、立ち上がろうとしていた彼にお
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