小屋/草野大悟2
「すみません、すみません」、と何度も何度も頭を下げている。
「雑役全般」のクラさんこと倉本さんは、喋らないし、人と目を合わせない。以前は、家庭を持って会社勤めをしていたらしいが、そこでの仕事があまりにも忙しくて、うつ病を発症し、長い間入院している間に会社をクビになり、家族からも見捨てられた、と清田さんが教えてくれた。
社長の中川さんは、色黒のガッチリした人で、毎日小屋に顔を出し、従業員にこまごまとしたどうでもいいことをクドクドいって、みんなから嫌われている。照明や音楽の使い方や僕の言葉づかいなどにも、いろいろ文句をいう。僕は、はいはい、と一応神妙な顔をして聞いてはいるが、照明と音楽の仕事を
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