小屋/草野大悟2
にしている。
小屋の営業が終わり、掃除が済んだあと、彼女らと僕とが対になってステージ構成を検討する。
僕は、踊りの振り付けなどしない。それは彼女らに任せ、六曲の中のどのステージでその子を最も美しく見せるか、それだけを考える。
照明は何色にし、ピンスポットをどこに当て、ミラーボールやブラックライトをどのように使い、花道の電球やステージライトをどの角度で何個当てるか、など繰り返し繰り返し検討する。
客の全くいない小屋で、深夜の照明室に一人で座り、彼女たちの踊りを見つめていると、僕は何ともいえない幸福感に満たされる。女が僕のために、僕一人のために、全力で踊っているような錯覚さえ覚える。彼
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