小屋/草野大悟2
 

煙草をふかしながら田中さんがいった。
「これ、何ですか?」
僕がむせながらそう訊ねると、田中さんは夥しい機械類をひとつひとつ丁寧に説明し、実際に作動させてみせてくれた。
「これがスライダックス」
「そしてこれは、ピンクスポットスイッチ」
「これは、ミュージックCDミキサー」
田中さんの説明を聞いているうちに、僕は何がなんだか分からなくなったきた。うす水色とさくら色の光が頭の中でくるくる回っていた。
 その時から、僕は田中さんに付いて照明や音楽の最も効果的な演出法を教わり、二年後に、やっと、田中さんのOKがでた。僕は二十三歳になっていた。
「これでどうやら大丈夫
[次のページ]
戻る   Point(1)