小屋/草野大悟2
 
なの食事の後片づけ、呼び込みの手伝い、モギリの手伝いなど、いわれるままに働いた。
 三年くらいたったある日、照明と音楽担当の田中さんが僕を劇場内のある場所へ連れていった。そこは、不思議な機械がいっぱい並んだ二畳ほどの部屋で、客席後方の少しばかり高い場所にあった。
「そのスイッチ入れてみろ」
田中さんにいわれるままにスイッチを入れた。うす水色の光の束がすーっとのびて、ステージの白い幕に丸いうす水色の輪をつくった。
「これが、スポットのスイッチだ。次は、その右のスイッチを入れてみろ」
いわれるままに、またスイッチを入れた。天井一面がさくら色に染まった。
「今のがメインスイッチな」
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