境/永乃ゆち
 
声になる事もなく
よりいっそう体が重たくなるだけだった。
涙があとからあとから溢れ出た。

おばあさんが私に言った。

『あんたの亭主があんまり泣き叫ぶけぇ
順番早くしてやったんじゃよ。どうするんね。帰るんかね』

私は泣きながら頷いた。

『あんたぁ、我がままじゃねぇ。自分からこっちに来といて。
まぁ、初回限定Uターン特約があるけぇね。
あんたをあっちに戻せんこともない』

私はおばあさんにすがって泣いた。

『でも、ホンマにええんね?あっちは苦しいぞ。痛みもある。
それにあんたなんてアリンコと同じなんじゃよ?
あんた一人おらんこうなっても、誰も気にせん。
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