宮澤賢治に寄せて/嘉村奈緒
 
ても!「犬の常套」とか、「わたくしの歩きかたは不正でない」とか。うん。静かなのだよね。決して印象が薄いとかではなくて。賢治の言葉は決して重くは思えないの。これだって、言うなれば犬のことですよ?犬がかけてくる内容の詩なんて、自分が書いたら間違いなく納得いくように書けない。犬の特徴とか、「どうして?」なんて疑問をからめて、こんな風には書けない。まったく自信がない!(どーん)犬の中の狼のキメラがなんなのかもわからない。わかってなくてもいいとは思ってる。でも自分の知らない世界を突きつけられてるみたいで、魅せられちゃうじゃないですか。
 「犬は薄明に溶解する」なんて、自分の世界にはないよ…。泣きそうになっ
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