小説家と器〜ホーリーナイト〜/王
りして
確かに僕の横で滔々と眠っている
空気は凛と鳴り、その他の静寂は身動きのとれない泣き笑いで、
足りない時間を数えているだけで
してもしなくてもいい今日の行動でかじかんでしまった指を
僕は眠っている死の器の前にかざしてみた
その寝息は泣きたくなる位、やさしく暖かく当たり前に僕を誘う
だから眠っているその器を抱きしめた
ホーリーナイト
誓いを立てなければならないと、恋人達も慌てている
何事も無いような顔で月が、高層ビルの先端にキスをする
誰もが明日になれば小説家のように冷たくなっているかもしれない
もしくは知らない仮面をとってありきたりの暮らしに戻るのさ
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