海を見る/梅昆布茶
家の前の道路を右にずんずん進んでゆくと
やがて海に辿り着く
幼い僕にとって海は未知の世界の
不安や驚異の象徴
大きな不思議な地球の水たまりだった
僕の中学の夏休みは海の生活だった
手製の木のボードで波と戯れ
岩場でイソギンチャクや小魚や蟹に面会し
海牛やアメフラシはエイリアンだった
営業で地方を回っていた頃も波音の聞こえる宿を選んだ
館山や木更津
銚子の灯台と岬に郷愁さえ覚えたものだ
海洋の深みには闇と希望がある
ひとの心にも似て
名も無い未知の生命がひっそりと充満している
やはり宇宙の一部なのだとおもう
それはマゼラン雲の輝く南半球の
オセア
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