二十歳(はたち)のエチュード/草野大悟2
 
園>
あなたの手のぬくもり
優しく笑う瞳
まるでわたしたちは羽根でもはえたような軽い足どりで
歩いたのです。

女や舟や兵士や馬の
形をした埴輪の
渋い土色に
心安まる思い
だったのです。

白鳥のいる池に遊び
遠い木々のうっすらとした影を
楽しみながら。

夢でも見ているのではないかと
思ったものです。

ここは 確かに 宮崎なんだ。
兄ちゃんの住む街なんだ。
私は 風に乗って ここまで
やって来たんだ。

燃えるカンナの心を持って。


2本あったバナナの皮を
ゆっくり むいて
食べたのです。
とろりと広がる甘さに
うきうきした気持
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