満月みたいな街/ユッカ
う一度あえます」と言う
バカバカしいよね
こんなすべて嘘みたいに聞こえる夜には、
きみのかなしい話が聞きたくなる
あの細くて暗い声で
いつまでたっても要領を得ない話を
あー、とか、いー、とか言いながら
つづけてほしい
愛は世界を救うかもしれないけど、
あたしたちのことは助けてくれないね
この前、玄関で待ち伏せてた女の人、繰り返しあたしに聞いてた
「つらいことはありませんか?」
どこかかゆいところはございますか?みたいな調子で言うから
「かゆいけど、どこがかゆいのかわかんないんです」
と思って、思うだけで、無視してドアを閉めたよ
きみの話を聞くのは、
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