そして繊細の雨/ねことら
て、逃げていく。
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湿った古新聞がフローリングにへばりついている。来年のGDPが何パーセント増えるかとか、そんなことが書かれていた。きみはぐっしょり濡れて床に寝ていた。エアコンがつよく効いていた。
上着をぬがせてタオルで拭いて、ベッドにはこんだ。いちども目を覚ますことはなかった。きみは安心して眠っているように見えた。
きみと暮らす日々。荒野で回る風車をおもう。どこに電気や、ちからをはこぶためではなく、そこでまわりつづけるためにまわる風車のことを。
開いた窓から、つめたい風がふきこんでいた。夜の匂いがした。
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