彼女たちの事情 〜愛しすぎる女たちのうたう詩〜/涙(ルイ)
っと見つめていたら 得体の知れないものたちが
なにやらうようよ蠢いているように見えて
怖くなってふとんをすっぽり被って
大丈夫 大丈夫 なんてことない なんてことないって
まるで何かの呪文かおまじないみたいに
何度も何度も そうつぶやいていたわ
やがて疲れて眠ってしまうまで
あのころからはじまってしまった不眠症は
1日分の睡眠薬くらいじゃビクともしなくなってしまった
強い薬と強いお酒で意識を失ってしまえれば
何も考えず 耳障りなあの音あの声を思い出さないでいられるなら
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