さくら色の息吹/夏美かをる
 
のこと
あなたのとりまきの子が
職員室に呼ばれた後泣きながら教室に帰って来たら、
あなたはその子の頬をピシャリと叩いて、こう言ったのだ
「叱られて泣く位だったら
 初めからするなよな」
冷たい炎のようなあなたの覚悟は
やわい私の心をジュッと焼き
永遠に消えない瘢痕を残した

再び季節が変わり 梅がほころび始めた頃
私は転校することになった
最後の登校日、あなたは突如私に耳打ちをして
私を廊下に呼び出した
動悸を覚え、ふらつきながら出て行くと
不意にあなたの左手が私の前髪を掴んだ
驚きの余り後ろにつんのめってしまうと、
あなたはクスリと一瞬笑顔を見せたのち
さくら
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