あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
 
たはずの夏の空を覆い隠して潰していく。
 大量の紙吹雪がビリビリビリリリと降ってきていた。鉄の雲がそこらじゅうにばら撒いているんだ。白い破片は屋根や山間に薄く積もりしだいに盛りあがっていき、集落を埋めつつあった。
 このヘリの群れは毎年この季節になるとやってくるんだ。
 僕は睡眠時間を削ってスナイパーライフルを手作りし始める。ただし発泡スチロールとダンボールと割り箸と鉛とステンレスとガラス繊維入り強化プラスチック等の身の回りにあるものを適当に集めただけなので、まともに完成するのかどうか。
 弾丸にはアルミホイルで包んだチョコボールを使うことにする。
 それなりの形状になりつつあった狙撃銃
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