最終電車/チャオ
 
の部屋、風呂のない部屋。暖房のない部屋、ハロゲンヒーターだけが置かれた部屋。
失えない音楽のある部屋。

電車が終着駅に着く。完全に締め切られることを待っている駅員たちの群れは、遊び疲れたキリギリスのようだ。働き蟻のサラリーマンたちは、週末の酒場で、げろまみれになっている。どこにも消えないで、僕は家に帰る。誰かが待っている保証はない。それでも、抱え込んだ情熱が、コンビニエンスストアの百円パンになっている。

今日が終わり、誰かが、笑いかけてくれることを知った僕は、姿を変えた熱情を、百五円で買い込むと、どうにかなるだろう明日へ向かうのだ。

「ねえ、僕は愛を欲しがってるの?」


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