訃報に涙されるのは 一体誰だ/創輝
 
一人の男性の訃報に 世界中が涙する

ここにいる僕は
他の誰でもなく、僕は
その終焉に涙してくれる人が 果たしているのだろうか

見知らぬ少女の死に
黙って白い花をそえ 冥福を祈る
だれかに 悲しんでもらうために死ぬのではないのに
僕は 誰も参列しない葬式を知った気がして恐ろしい

どこか知らない町で倒れたとして
味方の一人もいない場所で 死んだとして
僕の死に気づいて その死を悼む人は果たしているのか

足元の蟻が死んだとしても 僕は悲しんでこなかった
大雨に心配するのは 蟻やもぐらの住処じゃなくて 育てている花のことだった
それの何が間違っているわけも無いが
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