ぽ ん や り 。 /北街かな
カットを駆使するべきだという訓示が今、この時代に戒めとなることは想像にかたくない。タップしてフリックして、よくこねても、こねこでも、延びません。肉球の弾力もこのときばかりは役には立たぬ。
群青色のカモメが鳴いている。灯台のてっぺんにある宝の地図の×印がいま、大事なことを言おうとしているから静かにするべきだ。何度も沖へ沈み、そのたびに豪華客船が絵を描いていた。沈む船は大きいほど、恋愛は捗るのだ。そうしてお嬢様は生き残った。船もお嬢様もぬいぐるみだった。いまごろ、アルファケンタウリ三丁目あたりを飲みながら飛んでいる。
都会の真ん中にずっと続いている森があって、あまりにも続いているので都会がふた
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