言葉の人形たち/まーつん
 
 
愛を与えることは
出来はしないのだから


さて、次に
僕は 自分の存在を
言葉に 置き換えていく

物語という
広大な空間を持つ
平面世界に転生した
第二の君に 会うために
第二の自分に 乗り移って

喋りすぎる君の欠点は
消しゴムで擦り落とし
冷やかな目つきは
優しい眼差しに書きかえ

サクランボのような微笑みは
愛らしい形容詞で誇張して

僕もまた
スラリとした身体と
高い背丈に支えられた
美しい別人に生まれ変わり

決して
冷たい風の吹かない
常春の世界を見下ろす
月の明かりに祝福されながら

今夜 僕は君を汚す
そし
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