恥知らず/ヒヤシンス
 
の障壁となるものであろうか。
経験、人は経験により喜怒哀楽を知り、それぞれの特別な感情をその懐に抱え込む。
しかし人生とは経験の連続であり、この世に生を享けたものは全て何らかの経験をする。
経験に未熟な私は怖れすら充分に知ること無しにこの庭園に入る事が出来るのだ。

まず、庭園は私をすんなりと園内に招き入れた。
それはまるで悪魔が新たな純血を求めて手招きをしているかのように。
しかしそれも初めのうちだけだった。すぐに棘を持つ蛇の餌食となった。
私の四肢からは血が流れた。その時悪魔は悟ったか。私の血がすでに純潔でないことを。
私の赤黒い血が辺りの薔薇の花弁を汚した。花は萎れ、二度と
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