恥知らず/ヒヤシンス
 
度と開くことはなかった。
それに腹を立てた茎たちが私に絡み付き、その鋭い棘で執拗に私を襲う。
私の体の至る所から血が噴き出した。それを浴びた花が次々と萎れ、屋敷への道が次第に明確になってゆく。
いまや屋敷もそのほぼ全貌を現した。しかし忘れてはならない。見えているのは屋敷の表側だけなのだ。
それは私に伝える。人間はその限られた生のうちに物事の全てを知る事など出来ないのだ。それは広大な宇宙だ。そしてそれに絶望する人間は限られている。

私は傷付いた体で背後にブラックホールを背負い、前方に遥かなる宇宙のような屋敷を見据えている。
その屋敷の呼び鈴を鳴らす事が出来るだろうか。しかしなぜ?そこ
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