夏の送別/梅昆布茶
 
たらした夏は また記憶の片隅の小部屋に遠のいてゆく

書きかけの日記のように ピリオドを打たないままに

何処でもない場所にもどってゆくのだろう


誰でもない 何処にもいない 

僕の夏が またひとつ何かを置き去りにしたまま

鮮やかに あの夏へとフェイドアウトしていった




 「僕らの空間 僕らの時間」


遅い朝食のトーストを齧りながらミルクたっぷりのコーヒーを味わう

向かいの山頂には巨大な電波中継塔が聳えていてこのあたりの目印となっている


かつて涼風を運んでくれた緑陰はだいぶ減ってしまって

裏の崖下にも家が建ってし
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