やもめの星/梅昆布茶
 
流しにうず高く洗われぬまま放置された食器
とりあえず洗濯はするのだが部屋干しのまま畳まれることはない
読まない新聞が玄関に散乱している

居間の一角は得体の知れない整理しかけの古本がうず高い
灰皿はどれも吸殻で山盛り
ベッドは万年床で夜勤なので昼間は寝ていたりする

安酒のビンや缶がきままに転がっている
部屋の中を小蠅が飛ぶもちろんゴキブリも出てくるが

一番恐ろしいのはここの住人だ
自由気ままに詩と称して駄文を綴り酒を飲み
妻と子に見放されたことのうさをはらそうとしている

教養も蘊蓄も無くただ棒のような詩を書く
たまにスクット起き上がって奥田民生のさすらいなどを
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