ショッピングモール/片野晃司
しげてみせることができる(5点)。
音をたてずに皿のスープになることができる(30点)。
視線は這いつくばってわたしをねぶるべきである。わたしは
北区画と南区画を対称に分割する遊歩道を歩くべきである。
つまりショッピングモール、つまり腸詰めとしての
お客さま、店内奥の試着室に入るべきである。いますぐに
ファスナーを開き、たべられやすいように髪を上げ
なめらかに背骨の裏側で透明なよだれを流しなさい。
それから館内マップをごらんください。
ほら、たべものがよかったのかなわたし、襲いかかっていくからわたし、ほら、軟骨はつやつやとしてみずみずしく、膝はつやつやとして
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