青い鳥/アラガイs
に勝つのはわかっていた。
一生懸命…誰が?(おまえらの前で苦しむ顔なんか見せものにしてたまるか)
僕らは小山の茂みに座りこみ、レースが終わるのをじっと眺めながら待っていた。
女子の声が小さく聞こえてくる度に、チクリ、チクリと刺されるように胸は萎んでいく。
それから三年生になるまで何をしたのか記憶がない。
その日は帰りの掃除をしているときだった。
掃除と言っても男子は箒を手に騒ぐのが日課のようなもので、たいていは女子の係になる。
同じクラスにいたK子の家はとても貧乏だった。バケツを手にしたK子の髪はいつもボサボサで、擦れた紺色のスカートは鈍く照り返す。カビのような白い染みまでもが暗
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