使者 (充電池切れの為に)/アラガイs
 

どこまで脳漿を吸いとられたら気がすむのか
黄ばんだ朧気を引き連れて男は歩いている。

水色のペットボトルと大きな菓子箱を2つ置くと、若者は知らんぷりを装いながら携帯をじっと眺めていた 。 男がドアから入って来るのを伺う気すらない。しかし何かに怯えているのは確かだった。まるまると太ったこの若者の眼鏡の底は、一瞬キラリと鈍い光を放ってみえた。

いつもは暇な時間帯に珍しく客が並んでいたりする。
この男のまわりでは流れていた空気も違う方向へ逆流を開始する。取り立てて威圧的なわけではない。不可解な磁気が何故か意思とは無関係に他人を引き付けてしまう。引き付けられたものは自意識を超えてただよ
[次のページ]
戻る   Point(2)