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きっと永遠に蠢き続けるだろう。ぼくは座り込んで待っていた。港から遠く、船の汽笛が聞こえて、道路を走る車の音と、こどものはしゃぐ音、車輪の回るのと会話の音、飛行機の音、靴の地面に擦れたり当たったりする音、鳥の音、虫の音、草の音、橋の風と共鳴する音、そして凪ぐ水辺の無音、それらがぼくらを取り巻き、ぼくらはそれに取り巻かれる。あまつさえ夜ともなれば。打ち砕かれるサイレン、メガホンから発せられる救難信号、海鳥の介護、うつろ舟の微笑、ドブ川のほとりでぼくは待ち続ける。次第に忘れていく約束、少年院のチャイム、部屋の隅で蜜月を重ねるこどもの数と音、フォークに突き刺さる天使の数、格子の向こうの太陽、晩飯の一枚のハ
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