父/永乃ゆち
一枚と短い手紙が一通。
「あなたの異母兄弟よ。今年中学一年生なのよ」
達筆な字でそう書かれてあった。
写真の人物は、私の『異母兄弟』は、おそろしく
私に似ていた。
私はその場で嘔吐してしまった。
血が、流れてるんだ。
『父』の血が、流れてるんだ。
私は写真をびりびりに破って、手紙と一緒に燃やした。
母が私を殴るのも無理はないのかもしれない。
そう思った。
遺伝子が受け継がれている。
『父』と言う他人の遺伝子が。
それが私にはどうしても許せなかった。
この遺伝子をこれ以上増殖させてはならない。
そう思った。
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