よわいという/かんな
ら
美術館の話であったなどと記憶していて
わたしがきみの顔を見つめよう
その眼の内に
何かを探そうなどとすると
ぷい
といった風に海に吸い込まれてしまう
キスをした
接吻などと表記するとなんだか
趣深く
それでいて清楚であるな
などとわたしは考えてしまうけれど
ことばというものは
その場の雰囲気と
その事柄に適したものを
別に使う必要などないとおもう
だからベンチに座り
欲のまま
キスをした
めがねに絡んだ髪の毛の一本一本を
顔を見つめるのには
少々邪魔だ
というようにゆっくりゆっくりと
払いのけていた
そうきみの手が
よわいというはな
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