亀のいちばん長い日/夏美かをる
 
〜と再び涙を流したらしい

夕方亀と妹を迎えに行くと
亀は満面の笑顔でスクールバスから躍り出てくるなり
握りしめていた皺くちゃの紙を私に見せた
それは最高ポイントの四が並んだ発表の評価票だった
「すごい!すごいよ!亀ちゃん、全部四だよ」
興奮する私と下の娘
更に亀に言葉を掛けに来てくれた四人のうちの一人が
“この子と結婚したい”と亀が私だけに秘密で教えてくれた男の子だと
その時知った私は余計に興奮してしまった

その晩は亀のリクエストにより回転寿司屋に行ってお祝いした
他の子が普通に出来ることの
十分の一くらいのことが かろうじてできるようになっただけで
いちいち祝い
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