小さな音だけがはっきりと聞こえている/ホロウ・シカエルボク
を賭けたつもりでもどこか妥協があるように
すべてなくしたはずの時でもどこかに余りがあるものさ
血気盛んな人間の強い言葉に真実はひとつもない
そんな風に言えるのはそんな時代を自分も生きてきたからさ
受け止めてもらうことばかり考えて血走っていた
愚かな時代が恥ずかしくて仕方がない
「それでいまでは何があなたの真実なのか」
隣の空家の屋根に居る野良猫が静かに問いかける
おまえの誇る自由さがそれだとはおれは思わないよ
真夜中に息が止まるような意識の羅列が苦しみだというなら
それが無いものはのうのうとただのうのうと
間抜けな笑みを浮かべて眠っていられるだろうか、おれはそ
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