海一粒の砂粒/すみたに
 
した。汗で滲んだシャツや髪には砂がべっとりくっついている。じゃばじゃばと大袈裟な身振りで海へ飛び込んだ。崖に一人立って、巌をなぞる奇怪な視線とは異なり、滑らかな小麦の肌が海に融けるのを綺麗に見届ける視線があるのに彼は気がつかない。その女性は衣服を身につけていない――つまり全裸だった――が、恥じらいもなく、白い肌に一杯陽射しを受けていた。彼女は既に若くない。彼の母親ではないだろう。多分誰も彼女を知らないし、誰も彼を知らない。知る手段も知らせる手段も放棄してしまったのだ。少年も女性も、既に純な姿になろうとしている、肌が焼けて、色づくころに、むき出しになる赤い肉体こそが愈々世界に対峙したか弱き存在の創傷
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