齧りかけの林檎/AB(なかほど)
 
      ん
あんなに齧りかけの林檎ばっかり描いていたのに
ただの林檎さえ描けなくなったのは
何故なんだろうね
もう少し
判らないふりしてるよ
          いいのかな
       いいのかな
  「はいはい
      判ったって、
         もう帰るから」
この夜に
十二時前
中途半端なエロ本を片手に
店を出た この夜に
    またいつか


3 習作1および2

1 
あの頃の僕の絵にはいつも
齧りかけの林檎が描かれていて
それは空に浮かんでいたり
波間で揺れていたり
想い出の瓶詰めの中で転がっていたり
キャンバスには他
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