ディメンション/由比良 倖
なら、ページの隙間の絶え間ない平原であなたと私が棲まう、永久冷凍保存された神話のエネルギーで稼働し続ける光の都市を増設(設計士なんだ)しているのが僕。
感情は求める「もっと飛びたい」って。私は捧げる記憶の翼を。突き抜ける空の青さ、それを産む想像の鼓動。重力が歪む。ぎしぎし云う。ヘッドホンが十七世紀を運んでくる。私はただの肉になって、そして敵意を受けている。誰かの幸福のために生産される涙。私は三一世紀まで、笑いひとつ浮かべず、生き、そして、腕を切り落とされる。必要ないからだ。そして僕たちには言葉すらも必要ない。ドアを開けると僕が立っている。「僕の喜びと君の悲しみを交換しよう」どちらかが言う。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)