ディメンション/由比良 倖
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私はそこで、裸にされた世界と出会う。
もっとも充足された、一つのありかた。ただ、出会わなければならず、忍耐などそこでは重要にならない。白刃の上を渡り続けるのに必要なのは、スピードだ。絶え間ない燃焼、もしくは間歇的な爆発がどうしても要るの。
歌は最も小さな声で歌われるべきだよ。それは線状にたなびき私たちの神経をやさしく焼き切る。私たちが、こうして一つの記憶となるためには、私たちは投げ出してしまわなければならない。ピアノがピアニストと出会うようにして、私たちは世界と出会わなければならない。あるいは地球と言い換えても。詩でも。鳥を探し求める鳥籠は、目を瞑っていればじき消える。なぜならあれはひらがなに溶けて、見えなくなってしまうから。
私たちに枯渇はなく、あるのは全ての私だけの地平。空。死さえも重要じゃない。故意じゃない。私は私であるしかないんだ。
私たちは消費されるイメージの中で成長していく。
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