同時多発ツイート連詩【おいしい水を】 こひもともひこ・リミックス/こひもともひこ
って
「あぁ、おいしい」
コップに手のあとを付けるものは飲める。
コップに手のあとを付けないものは 口を開けて渇いたことに気づかない。
飲めるものに雨は降らない が
永遠に悲しみの木陰は降る。
脚色無しに、
甘い水を。
人生の鍵を路地裏で交換して、夜の人になる。
はるか彼方の虹すら見えず、
雨どいを伝う水が血に見えて錆びた腕時計が無言を貫く。
響くのは高鳴る鼓動ではなく靴音だ。
弱々しい、
落ちぶれた音で。
どうして?
と微粒子がぶつかり合う再起の尋問。
知恵の輪を解[ほど]いた頃に、
滔々と滴るだろう。
熱を柔らかく、鎮めるだろう。
空の気配をきき分けなが
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