曖昧さをかかえて/かんな
珍しく泥酔で現れた
夏の暑さから解き放たれたばかりの秋の気配のする―夜のそのおわり
ごろごろと大きな虎!いや
のら猫のように警戒心が強いわりには甘い声を出している
テーブルの上には電気ポット
湯が沸き始めて雲のように―現実を覆い隠す
いつの間にかのひざまくらで
すやすやと寝息を立て始めた
彼女のいるきみの
こと好きでした
好きと言うよりも
言い訳じみて気に入っていたのです
ここは頭を
撫でで罪悪感に襲わながら
夜を越すしかないのでしょう
きみが起きたならこれから何が起こるのか想像できる
できるから
こそそんなもの現実になどしたくないね
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