【批評祭参加作品】■シロン、の欠けラ(1)/川村 透
 
を吹くように言葉が響いてくる。ところどころコトバがぎざぎざでまちがえて触れると指が切れそうだ。時に途切れがちなかすかな風のように、けれどもヒュッとかまいたちのようにナイフの欠片が混じっている。みぞれ、なのかもしれない。抒情はキライだと、かつて言っていた、あの人のことを思い出した。

□『ガーベラ』 川元緋呂子
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 身近にいる人に、赤い花は、手折ってほしい、と密かに恋焦がれている。赤い砂は赤い花だ。枯れてなんかいない。手折ってほしい欲望はあっても、「もの」のように手に入れられたくはなくて、さらさらの赤になって
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