シノハネ/平井容子
 

ずれたところからずれて届く声で叫んでも
赤いあぶくを吹きながら
達成する
無意味

なぜここまできたの
壊れたペダルを踏むかかとに
くらいついていたいね
なんていうたびに
皮膚がめりめりと敗れた
さしでがましい髪をつかんで
埋めるようになめた
「それがわたしのほしい全部です」
見えないのは目がつぶれているから
とても単純で美しい道理にかなって
どこまでも複雑なねむりに惑った
裂いても!
頭がぐんぐん伸びていく
なんて醜い影のかたち
膝をひらいた影絵になって
そこに飾られつづけるなら
雨にも燃えるふさぎこんだネジになる
かろうじて生きながらえたら

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