お猿の森で/salco
 
怠りない職能に
矛盾点を追及されて
ゲロした母と内縁夫の自供に基づき
夜っぴて山間の静かな地面が掘り起こされる

雄ライオンは雌ライオンの子を殺して己の種を植えつける
雄チンパンは雌チンパンの子を殺して己の種を植えつける

この遺伝刷新が本能の要求するところであり
繁殖の摂理であるから
子を抹消されて初めて雌は直ちに発情し
母となる為に雄の生殖欲求を受容する
これが生態である
それでもこれら高等哺乳動物の名誉の為に付言するならば
乾いた容器をつけ狙う捕食者の歯牙から仔を守る為に
そこは畜生なりの浅知恵で
母体としての懸命な逃避・隠匿行動は取るのだ
恐らく野生の世界
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