object/水町綜助
と
そのアールにみあった遠心力が
なにかしらを寺院の回転経のように
一見美しく回して
行儀よくひとつのタームを繰り返す
そして風呂敷をひろげて
品を陳列する隊商よろしく、
やわらぎはじめた陽射しにあふれた、
この大通りにならべたてる
人々は行き交い
重なる夜と、夜にある
このあたたかな季節を前に
言葉はつぶやく
春の桜は
好きじゃない
もっと言えば
生臭いから春が好きじゃない
手で掬った海水を
ほんのすこしだけ
口に含んだときの
馴染みかた
その馴染みすぎる違和感は
嘔吐の前にあふれる
生唾の味と温度に
似すぎているとろみのある透明感
それが豊
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