past away/mizunomadoka
ト頼んでみればよかったね」
今朝まで降っていた雨で、花火はほとんど煙だった
分厚い雲が内側から赤と青と黄色に白く光った
「ラピュタみたい」
「私もそれ去年思ったよ」
「去年もこんな感じだったん?」
「もうちょい風は強かったけどね」
私たちの隣に座っていたお婆さんは、空を見上げずに
すこし前ではしゃぐ浴衣の子供たちを見つめてた
何十回も花火に行ったけど
私もそんな横顔ばかり憶えてる気がする
「やっぱり花火は描けないなー」と呟いてた彼女とか
花火が終わってからも
しばらく夜を見上げて寝転がってた
思い出したように雨の草の匂いが現れて気持ちよかった
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