うるう人/木屋 亞万
後ろで
うるう人は他の人達に溶け込みきれずに
ぽつんと浮いてしまっている
その人がうるう人と呼ばれるのは
集会に来たり来なかったりするからだ
毎年三百六十五人ずつ担当しているはずなのに
四年分の人数を合わせると千四百六十一人いる
現実と数字の間にある矛盾が生み出した
隙間を埋めるためのたった一人
グループに入れなかった余計な人
その表情は冷たくそれでいて湿っぽい
その瞳はいつも潤んでいる
瞬きするたびに
見開いていた間に
蒸発した分だけ潤うのだ
いつも少し上を向いていて
口をぐっと結んで
顎に小さないぼいぼが浮かぶ
視線はずっと中空に投げ出された
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