pendius/mizunomadoka
「ううん。ほら、目を閉じて耳をすましてみて?
テープみたいにくり返してるから」
そう言って彼女は目を閉じる。僕も目を閉じた。
「学校へ行ってみましょう?」
窓から外へ出ると、想像していたよりもずっと雨も風も強かった。
頬に当たる雨が痛くて満足に目を開けることもできない。
僕はフードを深く被って、足元だけを見て歩いた。
彼女がいないような気がして手を伸ばすと、コートの裾に触れた。
正門は閉じられていた。けれど通用門が開いていた。
僕は小さな門をくぐり抜け、校庭を突っ切って校舎に走った。
校舎の扉には鍵がかかっていたけれど、
大きく張り出した屋根と校舎が雨と風を
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