winter loser/木屋 亞万
 
ている

陽光の温もりをすべて拭い去る北風が
僕の頬をびしびしと叩く
これからお前は試されるのだ

キンと寒い空気の中を歩けば歩くほどに
頭の中が澄んでいく
心の臓から足元へ
流れ落ちていく血液は
太股のポンプでぐんと押し返される



(緊張の最中)

記憶は記録を忘れてしまう


そして


太陽が眠り
風がびゅうびゅう吹き荒ぶ中
空気の上澄みがまた地表まで届く
せかいの全てが上澄みになる

一本道の街灯が
退屈な人生のように
ひたすらに並んでいる
突き当りが見えないくらい
ずっと

歩くたびに街灯が揺れる
ほんとうに揺れて
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