winter loser/木屋 亞万
ている
陽光の温もりをすべて拭い去る北風が
僕の頬をびしびしと叩く
これからお前は試されるのだ
キンと寒い空気の中を歩けば歩くほどに
頭の中が澄んでいく
心の臓から足元へ
流れ落ちていく血液は
太股のポンプでぐんと押し返される
(緊張の最中)
記憶は記録を忘れてしまう
そして
夜
太陽が眠り
風がびゅうびゅう吹き荒ぶ中
空気の上澄みがまた地表まで届く
せかいの全てが上澄みになる
一本道の街灯が
退屈な人生のように
ひたすらに並んでいる
突き当りが見えないくらい
ずっと
歩くたびに街灯が揺れる
ほんとうに揺れて
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)