布讃歌/そらの珊瑚
 
ますが
そうではありません
そこにあるのは
命を証明するものなのです
だから私はそれらを
受け止めて
ありがとう と言いました

おむつの役割を終えて
私は
雑巾になりました
赤ちゃんはいつのまにか小学生になり
私を学校へ連れていきました

もうこの家に帰ってくることも
ないだろうと思うと
少し悲しくなりましたが
最後に
あなたが雑巾に生まれ変わらせてくれたことに
心から感謝しています

学校で
私は子供らが勉強する机を拭き
窓ガラスを拭き
床を拭き
とことん汚れを身に付けて
ドブネズミ色のぼろ雑巾になりました
心には
いまだあの朝顔が咲いて
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